糖尿病と診断されたのは?

過去に糖尿病と診断され、現在も闘病中の方へインタビューを行いました。
今回は、50歳で糖尿病と診断されたAさんの体験談です。

あなたが正式に糖尿病と診断されたのはいつ頃ですか?

確か50歳の時でした。
糖尿病という病気を初めて実感した時です。

体調の変化について

50歳と言うと、世間的には「中年層」などと呼ばれ、健康の維持が難しくなってくる年代かと思いますが、ご自身で何か糖尿病の予兆となるような不調を感じたタイミングはありましたか?

糖尿病と結び付けてはいませんでしたが、不調を感じる場面はありました。
今思えば、というお話しになりますが、40代前半までは特に体調に問題なく過ごせていたものの、ある時期から徐々に体重が増え、比例して体脂肪率も上がっていたような気がします。
そのせいか腰や背骨にも異常が出てきてしまい、一時は歩行も困難になったため脊椎の手術も受けました。
他にも細かい不調からお医者さんに掛かる機会も増えていたのですが、ある日の血液検査の結果で、血糖値が非常に高く、HbA1c(※)の値も7.0近くなっていて驚いたのを覚えています。

※HbA1c…赤血球の中に含まれるヘモグロビンと、血液中を循環するブドウ糖が結合したもの。

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糖尿病になった原因について

加齢と運動不足の影響から糖尿病へと繋がってしまったのですね。
その後、病院ではどのような治療を勧められましたか?

薬の服用と併せて、食事制限と運動の日常化を指示されました。
ただ、いろいろな人から糖尿病の恐ろしさは聞いてはいましたが、当時は特に痛いところがなく日常生活にも大きな支障はなかったため、食事を減らしたり無理やり運動をしたりということはなかなか継続できません。
薬は飲んでいたものの、運動は1日、2日…とサボる頻度が増え、体重も更に増加していきました。
そのうち、徐々に仕事をするにも通勤をするにもなんとなく身体がだるく感じるようになってきて、気が付いた時にはHbA1cの値が8.0を超えていたのです。

糖尿病治療のモチベーションについて

8.0は危険ですね…。
現在は前向きに治療へ取り組んでいるとのことですが、何か意識の変わるきっかけのようなものがあったのでしょうか?

たまたまテレビで放送していた、糖尿病の闘病記のドキュメンタリー番組ですかね。
そのテレビに出てきた患者さんは重度の糖尿病を患っており、病院のベッドに寝たきりで、既に足の爪から足首までが壊死してしまっていたんです。
そしてある日、先生から「壊死した部分は切断するしかない」と告げられていました。

翌日、手術室では先生がシーツの中で足先をまさぐりながら何かしているんです。
でも本人には足先、つまり手術の状況を確認することはできません。
そのうち、足元の方から
バチン!
バチン!と
大きな音が鳴り始めます。
それは、先生が巨大な爪切りで患者さんの両足の指を1本ずつ切断している音でした。
足先に麻酔はかけているようでしたが、既に本人は痛みも何も感じていないようです。
こんなことになってしまうのかと、ようやく糖尿病の恐ろしさを痛感しました。

また、ある時は友人からこんな話を聞いたのです。
それは歌手の村田英雄さんのことです。
もう既にお亡くなりになりましたが、若い頃から人気もあり歌に映画にと活躍されていたあの有名人が、糖尿病を患ったために足を切断したらしい、という内容でした。
ドキュメンタリー番組で観た映像と重なり、あれが特殊な一例などではなく、全ての糖尿病患者に起こり得ることなのだと思い知りました。

糖尿病で悩む方へメッセージ

ご自身も糖尿病と診断されていたことで、他の方の体験がより身近でリアルに感じられたのですね。
それでは最後に、Aさんと同じように糖尿病で悩む方へメッセージなどあれば、お願いします。

糖尿病は、決して遠い存在ではありません。
糖尿病を始めとした生活習慣病に侵されている患者はたくさんいます。
見た目は健康で自覚がない方も多いですが、それらがいつ牙をむいて来るかは誰にも分かりません。
幸いにも、自分はまだそこまで症状が悪化しているわけではないので、しっかりと治療を行い、残りの人生を五体満足な身体で健やかに生きていきたいと日々考えています。
現在は、薬を飲み、食事を管理し、運動(と言ってもウォーキング程度ですが)も積極的に取り組むよう心掛けており、徐々にですがHbA1cの数値も下がってきているこの頃です。

皆さんも、静かに着実に身体を蝕むサイレントキラーには、くれぐれもご注意を。