糖尿病治療の目的

糖尿病治療の目的

日本糖尿病学会が発表した糖尿病治療ガイドラインでは、糖尿病治療の目的・目標を以下のように定めています。

“糖尿病治療の目標は、高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え、糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に起こりやすい併発症の発症、憎悪を防ぎ、健康人と変わらない生活の質(quality of life:QOL)を保ち、健康人と変わらない寿命を全うすることにある。”

糖尿病は完治が難しい疾患であり、悪化すると生活に支障をきたす恐れもありますが、血糖値のコントロールによって健康な方と変わらない生活の質を維持していくことができます。
健やかな生活が脅かされないよう患者を支えていくのが、糖尿病治療の意義なのです。

参考:一般社団法人 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2019」

糖尿病は何科を受診すれば良いのか?

糖尿病に関して何らかの前兆や自覚症状があらわれ、1度病院で診てもらおうと考えた時、皆さんは何科へ足を運ぶでしょうか?
総合病院の内科にかかれば間違いはないと思う方もいらっしゃるかと思いますが、多数の分野に手広く精通している医療機関よりも、特定の疾患の治療を専門に扱っているクリニックなどの方が、より的確な検査や治療を受けることができるのでおすすめです。
糖尿病にも、糖尿病内科と呼ばれる専門の診療科があります。
糖尿病内科では、糖尿病専門医の試験に合格した医師が1人1人に適切な対応してくれるので、全く知識のない方でも安心です。
ご自身や近親者に糖尿病の疑いがある場合には、なるべく糖尿病内科を備えた医療機関を受診しましょう。

お近くに該当する医療機関がない場合は、一般内科や総合内科、循環器内科、腎臓内科といった診療科でも簡単な検査をしてもらうことができますので相談してみて下さい。
その時点ですでに糖尿病が進行していると、改めて専門の医療機関を紹介されるケースもあります。
また、糖尿病は目や歯、手足などに影響を及ぼす合併症を発症しやすいため、眼科、歯科、外科といった別の診療科も受診するよう勧められることもあるようです。

どんな治療を勧められる?

糖尿病治療と聞くとインスリン注射をイメージされる方も多いかもしれませんが、医薬品を用いた薬物療法は治療の第一選択肢ではありません。
糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法であり、薬物療法はそれらを助ける補助的な役割です。
医療機関でも、よほど症状が進行していない限りまずは生活習慣の見直しを勧められ、その指示に従って生活を送っても満足な改善が見られなかった場合に、初めて薬物療法の適用が選択肢に入ります。

薬物療法には、主にインスリン注射とインスリンポンプの2種類があります。 インスリン注射は1日数回、決められた時間にインスリン製剤を注射器で皮下注入して血糖値のコントロールを図る方法です。
インスリンポンプはその皮下注入の工程を専用の機械を利用して行う方法であり、ボタンの操作1つで適量のインスリンを随時体内へ取り込むことができます。
それぞれにメリットやデメリットがあるので、ご自身の状態や生活パターンに合う治療方法を専門医と話し合いましょう。

治療費について

治療費について

どんな症状であっても、医療機関にかかる際に気になるのが治療費です。
その中でも特に、長期的な治療や通院が必須となる糖尿病は経済的な負担が大きくなってしまう傾向にあります。
医療経済研究機構の調査によれば、糖尿病患者1人当たりの平均的な治療費は年間で約24.7万円(3割負担で7.4万円)です。
ただし、糖尿病は発現する症状や進行具合の個人差が非常に大きい疾患のため、治療費も状況によって変動することを念頭に置いておきましょう。

参考:医療経済研究機構「政府管掌健康保険における医療費等に関する調査研究」

食事療法及び運動療法のみの場合、経口薬を使用した場合、インスリン注射と経口薬を併用した場合、インスリンポンプを使用した場合など、治療方法には幾通りもの組み合わせがあります。
そしてその組み合わせの数と同じだけ、治療費のパターンも枝分かれしているのです。
糖尿病患者や医療従事者向けに様々な情報を発信している糖尿病情報センターが医療費の例」を作成しているので、そちらも参考にして下さい。

入院する際の費用について

血糖値のコントロールやインスリン治療を目的として入院した場合、10日間で約12万から16万円(3割負担)の費用がかかると言われています。
また、合併症を発症し、そちらの治療も必要になった場合の費用は、1ヶ月でおよそ30万円以上です。
こちらもあくまで目安であり、個人の状態や医療機関によっても異なりますが、症状が悪化するほど経済的な負担が大きくなってしまうことは間違いありません。
身体的にも経済的にも手遅れになることのないよう、日々の健康管理は入念に行いましょう。