ストレスとは?

糖尿病とストレス

ストレスは、元々は物理学の分野で使用されている用語であり、外的要因でかけられた圧力によって生じる物質や物体の歪みを指す言葉です。
対象物が歪んでいる状態そのものをストレスと呼び、対象物を歪ませている原因をストレッサー(ストレス要因)と呼びます。
ここから転じて、外的要因によって人の心身に負担がかかっている状態、といった意味合いでストレスという言葉が使用されるようになりました。

仕事、家庭環境、悩み、健康状態、人間関係など、ストレスの原因は日常の至る所に潜んでいます。
その全てを避けながら生きていくのは難しいでしょう。
人間であれば、誰しも千差万別のストレスを抱えていて当然なのです。

そして、古くからストレスは健康に悪いと言われていますが、糖尿病も例外ではありません。
ストレスが原因で糖尿病を発症したり、元々発症していた糖尿病がストレスによって悪化してしまったりしたケースは非常に多いです。
ここからは、糖尿病とストレスの関係性について考えていきたいと思います。

糖尿病とストレスの関係性

人間がストレスを受けると、交感神経が刺激されてアドレナリンやグルカゴン、甲状腺ホルモンなどが分泌されます。
これらは全て、血糖値を上昇させる働きを持つホルモンです。
一方、人間の体内において血糖値を下げる働きをするホルモンはインスリンしかないと言われています。
一斉に、大量に分泌された血糖値を上昇させるホルモンたちに対して、インスリンだけは到底歯が立ちません。
瞬く間に押し負けて血糖値が急上昇し、糖尿病の発症や症状悪化に拍車をかけるでしょう。

糖尿病治療とストレス

また、糖尿病治療や生活の指導を受けることでストレスを感じてしまうケースも考えられます。
糖尿病の治療と言えば、食事療法や運動療法薬物療法などが基本です。
加えて、過度な飲酒や喫煙を嗜んでいた方はそれらを控える、極度の肥満体型の方はダイエットする、といった進言をされる場合もあります。
どれも健康状態を維持していくためには必要なことです。

しかし、糖尿病と診断された日から突然、食事制限、運動の習慣化、定期的な薬物投与、禁酒・禁煙などのアドバイスを完璧に実行できる方は、恐らくいないのではないでしょうか。
生活習慣は、「習慣」と付いている通り、それまでの日々の生活で少しずつ培われて身に付いた行動パターンです。
健康のためとは言え、それを矯正するよう言い聞かせられると、そのアドバイス自体を煩わしく感じてしまったり、遂行できない自分に失望したりして、ストレスが蓄積されることもあります。

ストレスとの向き合い方

ストレスとの向き合い方

先述したように、ストレスと無縁の生活を送ることはほぼ不可能に近いのではないかと思います。
また、1度受けたストレスを完璧に解消しきる、というのも難しいでしょう。
肝心なのは心構えです。
ある程度のストレスは仕方がないと割り切った上で、そのストレスに飲み込まれてしまわないように、上手な付き合い方を模索してみて下さい。

糖尿病治療について

1度に全て頑張るのではなく、できることから少しずつ始めて継続していきましょう。
何か1つでもやり遂げることができれば、成功体験が達成感へと変わり、次の目標への高いモチベーションとなってくれます。
それから、これは私個人の意見ですが、生活習慣の見直しや禁酒・禁煙、体型維持などについては、糖尿病を患っていなくとも気を付けたほうが良い内容です。
毎日努力を続けている方々は、それだけでとても健全かつ立派だと思います。

自分の時間を充実させる

強いストレスを抱えている方は、何もすることがないと思考がマイナス方向に囚われてしまいがちです。
そんな時に、気持ちをリフレッシュさせる手段があると心持ちが変わってきます。
散歩や読書、映画鑑賞、音楽鑑賞、ゲーム、入浴など、気軽に始められて集中できる趣味を見つけてみましょう。

誰かに相談する

最も良くないとされる行いは、自分1人で抱え込むことです。
糖尿病を患っている方とそうでない方、医療的な知識がある方とない方…皆さんの周りには様々な視点を持った方がいらっしゃるかと思います。
つまり、それだけたくさんの見解が聞けるということです。
「人に話したところで解決しないから」と口を閉ざしてしまう方もいますが、解決には至らなくとも、吐き出すだけで心が軽くなるケースも確かにあります。
また、人に伝えることで自分の気持ちが整理され、冷静になれる場合も多いです。
家族、友人、知人、主治医、SNSのようなコミュニティで繋がっている方々など、真剣に耳を傾けてくれると思える方に、1度ご自分の心境を話してみてはいかがでしょうか。